もう随分前の話。
きっかけは「赤い封筒」。
中にはライブペイントで描いた作品の写真と、
ある集団のプロフィールが入っていた。
さくらの季節。
公園でゲリラ的に音楽を奏で、絵を描く。
その活動を知人から聞き、ある店で手に入れた赤い封筒。
それから、プロフィールに書かれていたブログをのぞく。
所感をつづった文章。
とてもキレイな表現、というか…古典的な言い回し。
詩的な表現。どんな人なのだろう?
私の中で想像が膨らんだ。
いつしか時間は流れ、私は友人たちと企画してあるアート展を開いた。
私も出展したが、同じ空間に作品を展示してくれる人を公募した。
あの赤い封筒の作品の彼がいた。やっと逢えた。
ひとまわりも歳が下だったが、なんだが妙に落ち着いていて、
カメラを持って、おしゃれさんで、口数が少なかった。
エスキスノートを持ち歩き、気になったことをメモしたり、
スケッチしていた。それも見せてもらった。
オモシロイ視点。すごく惹かれた。
「赤い封筒」のことを話した。すごく喜んでくれた。
私は、彼から本をいただいた。大切にしていた本だという。
彼が影響を受けた外国のアーチストの作品集。
すごく気に入った。
私がアートに深く興味を持ち始めたきっかけ。
彼はアート展で実物大の「ロバ」を展示した。
ロバは彼に似ていて、やさしい顔をしていた。
アート展のとき、たくさん話をした。
うちに秘めた想いを作品にすること、
今のアートシーンのこと…
とても濃い時間。
アーティスティックな感覚に目覚めさせてくれた。
それからまもなく、私は病に倒れて自暴自棄になった。
それを救ってくれたのはアート。
北の大地へ移り住んだ彼の作品展を見に行った。
ギャラリーはこじんまりとしていて、
ハシゴに登って上から俯瞰的に見たり、
西日が差し込むと作品の影が長さを変えて趣を出したり、
すべて計算されている!そして、いつまでもココにいたい!
故郷をはなれても、作品から感じられる敬意。
地元に帰って、私はアートギャラリーのアルバイトをした。
ここで、さまざまな感性を持つ人たちと出逢った。
どんどん、これまでの感覚が上書きされていく。
眠っていた感覚が目覚めていくように感じた。
どこか、非日常を求めるとき、芸術鑑賞に行く。
五感を使い、想像をはたらかせ、
それは結局、脳へよい影響があるから。
型にはまらない発想は仕事でも生かされ、
アーティストとの出会いで、私の価値観も塗り替えられた。
いまもなおアートとの関わりは続いている。
ありがとう。
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